十角館の殺人は、ミステリー史に残る“どんでん返し”を持つ作品です。
クローズドサークルという逃げ場のない状況。
見えない犯人を追う緊張感。
そして、すべてを覆す“たった一行”。
読了後、誰かに語りたくなる。
しかし同時に、「絶対に何も知らずに読んでほしい」と思わされる一冊です。
■あらすじ
ある孤島では、半年前に建築士が建てた屋敷が火災で焼失し、複数の遺体が発見される事件が起きていました。
唯一遺体が見つからなかった庭師が犯人とされ、事件は幕を閉じたかのように見えていました。
そんな中、推理小説研究会のメンバー7人が、その孤島を訪れることになります。
彼らが滞在することになったのは、十角形の奇妙な建物「十角館」。
島には外部との連絡手段がなく、迎えの船が来るのは1週間後。
完全な孤立状態の中で、奇妙な出来事が起こります。
ホールのテーブルに置かれた「犯人」「探偵」「被害者」と書かれたカード。
そして翌日、メンバーの一人が遺体となって発見され、その場には「被害者」のカードが残されていました。
逃げ場のない島で始まる連続殺人。
疑心暗鬼に陥るメンバーたち。
一方、本土でも半年前の事件に関する不審な手紙が届き、別の視点から真相が追われていきます。
二つの物語が交錯しながら、真実へと近づいていきます。
■感想
孤島という閉ざされた空間で起こる連続殺人。
逃げ場のない状況が生み出す緊張感と恐怖は、読んでいるこちらにも強く伝わってきます。
「犯人は誰なのか?」
ヒントをもとに推理を試みるものの、核心にはなかなかたどり着けない。
このもどかしさが、さらに物語への没入感を高めていきます。
本作は、島での事件と本土での調査が並行して進む構成になっています。
読者はその二つを行き来しながら、少しずつ真実に近づいていくことになります。
そして、この作品最大の特徴である“どんでん返し”。
いわゆる「伝説の一行」を目にした瞬間、時間が止まったように思考が止まりました。
あまりの衝撃に何が起きたのか理解できず、伝説の1行を何度も見返していたのを覚えています。
この衝撃を味わうために、この作品は存在している。
そう言っても過言ではありません。
ストーリー自体は比較的わかりやすく、ミステリー初心者でも読み進めやすい構成です。
一方で、その仕掛けの巧妙さは、ミステリー熟練者でも見抜くのは難しいと感じました。
■読む前の注意点
この作品を最大限楽しむために、ひとつだけ重要なポイントがあります。
『登場人物をしっかり把握すること』
登場人物は多いですが、それぞれに特徴があります。
誰がどのような人物なのかを意識して読むことで、どんでん返しの衝撃が大きく変わります。
逆にここが曖昧なままだと、驚きが半減してしまう可能性があります。
■まとめ
「読んでいない人がうらやましい」
「記憶を消してもう一度読みたい」
そう言われる理由が、はっきりと分かる作品でした。
どんでん返しミステリーの中でも、間違いなくトップクラスの一冊です。
ミステリー初心者から熟練者まで、
誰にでもおすすめできる“必読の一冊”だと感じました。

