「犯人に全財産を譲る」
もし、そんな遺言状があったらどう思いますか?
普通ならあり得ない内容ですが、その奇抜な遺言から物語が始まるのが『元彼の遺言状』です。
遺産相続をテーマにした作品ですが、難しい法律の話ではなく、個性的な主人公が軽快なテンポで事件の真相に迫っていくエンターテインメントミステリーとなっています。
今回は、『元彼の遺言状』のあらすじや感想、実際に読んで感じた魅力を、ネタバレなしでご紹介します。
■あらすじ
敏腕弁護士・剣持麗子は、ある日、かつて交際していた森川栄治の訃報を知る。栄治は、日本有数の大企業の御曹司だった。
そんな彼が残した遺言状には、誰もが耳を疑う一文が記されていた。
「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」
遺産は約60億円ともいわれる莫大な財産。犯人に遺産を相続させるという、前代未聞の内容だった。
栄治の死の真相が気になった麗子は、栄治と親交のあった篠田という人物と会う。そこで知らされた死因は、殺人ではなくインフルエンザによる病死だった。
遺言には続きがあり、殺人以外の死因だった場合は、全財産を国庫へ帰属させるという。
病死なので誰も遺産を受け取れないはずだったが、篠田は思いもよらない提案を持ちかける。
「亡くなる一週間前に会っている。病気をうつしたことにして、僕が死因を作った犯人ということにならないだろうか」
麗子は、その依頼を引き受けることを決意する。
しかし調査を進めるうちに、遺言状に隠された真意と、栄治の死を巡る意外な真実が少しずつ明らかになっていく。
■感想
『元彼の遺言状』は、法廷で裁判を繰り広げるリーガルミステリーではありません。
物語の中心となるのは、「犯人に遺産を相続させる」という奇抜な遺言状の謎です。
主人公の剣持麗子が、利益のために調査を進め、その過程で次々と新たな事実に直面していきます。
特に魅力的だったのは、主人公・剣持麗子の存在です。
プライドが高く、合理的で、お金への執着も隠しません。思ったことは遠慮なく口にするため、最初は少し癖の強い人物に感じました。
しかし、その圧倒的な行動力と頭の回転の速さで問題を次々と切り開いていく姿は痛快で、気付けば応援したくなる主人公でした。
また、「僕を殺した犯人に遺産を相続させる」というインパクト抜群の設定も、本作の大きな魅力です。
「なぜこんな遺言を残したのか」 「本当に犯人は存在するのか」
そんな疑問が次々と浮かび、真相が気になってページをめくる手が止まりませんでした。
遺産相続という一見難しそうなテーマですが、会話を中心にテンポ良く物語が進むため、法律の知識がなくても読みやすく感じます。
重たい雰囲気も少なく、コミカルなやり取りも多いため、エンターテインメント作品として気軽に楽しめました。
本格ミステリーのように緻密なトリックを解く作品ではありませんが、登場人物同士の駆け引きや心理戦が見どころです。
ドラマ化もされた人気作ですが、小説では登場人物の心理描写や推理の過程をじっくり味わえるため、原作ならではの面白さも十分に感じられます。
「気軽に読めるミステリーが読みたい方」や、「個性的な主人公が活躍する作品が好きな方」におすすめしたい一冊です。
■まとめ
『元彼の遺言状』は、「犯人に全財産を譲る」という衝撃的な遺言状から始まる、テンポの良いエンターテインメントミステリーです。
遺産相続というテーマを扱っていますが、難しい法律の知識は必要なく、個性的な主人公・剣持麗子の活躍を楽しみながら気軽に読み進められます。
本格ミステリーのような複雑なトリックよりも、登場人物同士の駆け引きや遺言に隠された真意を追いかける面白さが魅力の一冊です。
「読みやすいミステリーを探している方」や、「魅力的な主人公が活躍する作品が好きな方」には手に取っていただきたい作品です。ぜひ一度読んでみてください。

