「ミステリー小説」と聞いて、どんなものを想像しますか?
殺人、犯罪、死体、恐怖。
まだミステリー小説を読んだことがない人でも、こんなイメージを持っているのではないでしょうか?
あなたの感覚、合ってます。
ミステリー小説には、殺人や犯罪を題材にした作品がたくさんあります。
殺される。刺される。殴られる。追い詰められる。脅される。騙される。
普段の生活でこんなことが起きたら、かなり辛いですよね。
できることなら、こんなトラブルには関わりたくありません。
しかし、不思議なことに、
なぜか興味がある。
「自分は絶対にこんなことはしない」
「自分の周りで起きてほしくない」
「こんなこと、考えたくもない」
そう思っていても、ニュースやSNSで事件の記事を見てしまう。
ミステリーのドラマや映画も見てしまう。
これは、いわゆる「怖いもの見たさ」なのかもしれません。
小説の中なら、現実とは違います。
殺人でも犯罪でも、物語の中ではさまざまな事件が起こります。
私たちは安全な場所から、その世界を眺めることができます。
現実では決して経験したくない出来事を、ミステリー小説を読むことで、安全な立場から体験できる。
これもミステリー小説の面白さの一つではないでしょうか?
今回は、私が読んだ作品の中から、
焦り
緊張
不安
恐怖
という、ハラハラする恐怖感が特に強かった作品を10冊選びました。
「怖いミステリーを読んでみたい」
「恐怖を感じる作品を読みたい」
「目を背けたくなるような作品を読みたい」
という方は、ぜひ参考にしてみてください。
■恐怖を感じるミステリー小説10選
今回紹介するのはこちらの10作品です。
※作品の重大なネタバレは避けて紹介しています。
・『#真相をお話しします』 著:結城真一郎
「日常の中に潜んでいる不気味さ」
「怖いミステリーを読んでみたいけれど、あまり長い作品はちょっと……」
そんな人にも手に取りやすいのが、結城真一郎さんの『#真相をお話しします』です。
5つの短編が収録されており、それぞれ違ったタイプの物語を楽しめます。
物語の始まりは、一見するとそれほど怖そうには感じません。
ところが、読み進めていくうちに、
「ん?」
「何かおかしくない?」
という違和感が少しずつ積み重なっていきます。
そして、その違和感の答えがわかったとき、
「うわぁ……」
と寒気がするような気持ち悪さがあります。
「怖いものが襲ってくる」というより、普段の生活のすぐ近くに何か潜んでいるような不気味さがあります。
短い物語の中に驚きが詰まっているので、
「短時間で恐怖を体験したい」
という人にもおすすめです。
▽ 詳しい感想はこちらで紹介しています。

「短くて読みやすいミステリーを読みたい」「怖さのあるミステリーを読んでみたい」「最後に驚かされる小説が好き」 そんな人におすすめしたいのが、結城真一郎さんの『#真相をお話しします』です。 本作は、5つの物語が収録された短 […]
・『そして誰もいなくなった』 著:アガサ・クリスティー
「次は誰が殺される?という恐怖」
孤立した島に集められた10人。
ところが、そこから一人、また一人と人が死んでいきます。
問題は、ここにいる人たち以外に、人間がいるとは考えにくいこと。
つまり、
「この中に犯人がいる」
という状況です。
外部との連絡もできず、孤立した島から簡単に逃げることもできません。
「次に狙われるのは誰なのか?」
「犯人はこの中の誰なのか?」
そんな疑問を抱えながら読み進めることになります。
一人減るたびに、残された人たちの緊張感も高まっていきます。
「次は自分かもしれない」という恐怖。
これが、この作品の大きなハラハラ感です。
▽ 詳しい感想はこちらで紹介しています。

世界一売れたミステリー小説、そして誰もいなくなった。1939年の発売から、今なお世界中で読み継がれています。ミステリー小説に興味がない人でも、タイトルを聞いたことがあるのではないでしょうか。古典ミステリーの最高峰に君臨し […]
・『仮面山荘殺人事件』 著:東野圭吾
「犯罪者に監視され、誰も信用できない」
山荘に集まった男女。
そこへ突然、強盗犯が侵入してきます。
外部との連絡を絶たれ、逃げることもできない。
そして強盗犯に脅され、監禁状態に置かれます。
そんな中で、さらに殺人事件が起こります。
誰もが「犯人は強盗犯」と思いますが、強盗犯の犯行としては不可解なことが。
もしかすると、この中に別の犯人がいるのか?
閉ざされた山荘で、いつ強盗犯に何をされるかわからない。
それだけでも、かなりの緊張感があります。
さらに怖いのが、誰を信用していいのかわからないこと。
味方だと思っていた人物が、本当に味方なのか。
犯人はどこにいるのか。
読者も登場人物たちと一緒になって、疑心暗鬼になっていきます。
「逃げられない」+「誰も信用できない」
という恐怖感を味わいたい人におすすめです。
▽ 詳しい感想はこちらで紹介しています。

「次は何が起こるんだ?」そう思いながら、ページをめくる手が止まらなくなる。今回紹介するのは、東野圭吾さんの『仮面山荘殺人事件』です。 本作は、湖畔の山荘に集まった男女が、逃亡中の銀行強盗に監禁され、その中で殺人事件が起こ […]
・『屍人荘の殺人』 著:今村昌弘
「事件を解く前に、生き残らなければならない」
大学生たちが訪れた山荘。
そこで殺人事件が起こります。
しかし、この作品では殺人事件だけを心配していればいいわけではありません。
外へ逃げることが難しい状況になり、さらに登場人物たちは不可解な敵に追い詰められていきます。
「この状況で、どうやって事件を解決するの?」
「そもそも無事に生き残れるの?」
そんな疑問が浮かんできます。
この作品では、
「犯人を探す前に、自分たちは大丈夫なのか?」
という緊張感があります。
ミステリーだけでなく、サバイバル的な恐ろしさも楽しめる作品です。
▽ 詳しい感想はこちらで紹介しています。

ミステリー小説にはさまざまな作品がありますが、『屍人荘の殺人』はその中でもかなり異色の作品です。 大学生たちがペンションで合宿を行うという、いかにも事件が起こりそうな舞台設定。そこに脅迫状や過去の自殺事件といった不穏な要 […]
・『十角館の殺人』 著:綾辻行人
「見えない犯人と、身に迫る恐怖」
孤島に建つ、十角形の奇妙な館。
この島では過去に凄惨な事件が起きていました。
そこへ大学ミステリー研究会のメンバーが訪れます。
そして今回も、島で殺人事件が起こり始めます。
外部から隔離された孤島。
限られた登場人物。
逃げ場のない状況。
こうなると、当然気になるのが、
「犯人は誰なのか?」
「次のターゲットは自分なのでは?」
ということ。
島にいる全員が怪しく見え、犯人を探すだけでなく、どうやって生き残るかまで考えてしまいます。
「この人が犯人だったらどうしよう」
「いや、この人のほうが怪しい」
と考えながら読み進めることになります。
そして、この作品では、最後に強烈な恐怖が待っています。
思考が止まるような衝撃に襲われる、そんな恐怖を味わえる作品です。
▽ 詳しい感想はこちらで紹介しています。

・『方舟』 著:夕木春央
「密室、時間制限、殺人、そして究極の選択」
山奥で見つけた地下建築。
そこに集まった主人公たちですが、思わぬ事態が発生し、地下に閉じ込められてしまいます。
さらに地下水が流れ込んできて、水没するのも時間の問題。
この状況から脱出するためには、一人を犠牲にしなければならない。
そんな極限状態に置かれてしまいます。
さらに、そこへ殺人事件まで起こります。
犯人は、この中の誰か。
脱出するために、犯人を犠牲にする。
誰を信じればいいのかわからない状態で、犯人を探していきます。
しかし、犯人がわかったとしても、その人を犠牲にしなければならない。
「そもそも、ここから脱出できるのか?」
さまざまな不安が重なっていきます。
「謎を解く」だけではなく、「生き残るための選択」を迫られる。
そんな極限状態の恐怖を楽しめる作品です。
▽ 詳しい感想はこちらで紹介しています。

・『medium 霊媒探偵城塚翡翠』 著:相沢沙呼
「目の前にいる人を、信じていいのかわからない」
死者の言葉を伝える霊媒師・城塚翡翠。
そして、彼女と出会う推理作家。
二人が協力しながら、難事件の真相に迫っていきます。
この作品の特徴は、霊媒師という特殊な設定。
「霊の言葉」という、確証のない手がかりをもとに謎を解いていきます。
登場人物の言葉や行動をどこまで信用するのか。
読者自身も考えながら読むことになるため、独特の緊張感があります。
物語が進むにつれて、霊媒という特殊能力の凄さを感じてきます。
そして最後には主人公たちが事件に巻き込まれてしまいますが、この事件の真相が見えたとき、本当の恐怖が襲ってきます。
この恐怖は一度だけではありません。
何度も畳み掛けてくる恐怖に、「何を信じればいいのかわからない」という感覚になっていきます。
▽ 詳しい感想はこちらで紹介しています。

・『連続殺人鬼カエル男』 著:中山七里
「残虐な犯人と対峙する恐怖」
マンションの高層階から、死体が吊り下げられるという異様な事件。
さらに、その死体には「カエル男」を名乗る犯人からのメッセージが残されます。
そして、この「カエル男」の残虐で異様な犯行が繰り返されます。
犯人は誰なのか。
次の犠牲者は誰なのか。
そして、事件はいつまで続くのか。
かなり刺激の強い作品なので、怖いミステリーが好きな人向けです。
特に怖いのは、犯人がわかったときの恐怖、そして犯人と対峙したときの恐怖。
「また何か酷いことが起こるのでは?」
と思いながら読み進めることになります。
グロテスクな描写もあるため、怖いものが苦手な方は注意が必要です。
▽ 詳しい感想はこちらで紹介しています。

・『密室殺人ゲーム王手飛車取り』 著:歌野晶午
「殺人をゲームとして楽しむ異常さ」
インターネット上で知り合った5人のミステリー好き。
彼らが行っているのは、「殺人事件の推理ゲーム」です。
ただし、ここで出題される事件は異常なものでした。
参加者たちが自分で殺人を実行し、その事件を問題として出題するのです。
物語では、楽しそうに問題を出し合う参加者たち。
しかし、とても正気とは思えません。
「もし、本当にこんなことをする人たちがいたら?」
そう考えるだけでも、かなり怖くなります。
しかも読者は、その事件の真相を推理する側。
「どんなトリックを使ったのか?」
と考えながら読み進める一方で、
「この人たちは次に何をするのだろう?」
という別の不安も出てきます。
殺人をゲーム感覚で扱うという設定そのものが、独特の緊張感を生み出している作品です。
▽ 詳しい感想はこちらで紹介しています。

・『アリス殺し』 著:小林泰三
「何が現実なのかわからない」
夢の中で起きている出来事と、現実世界で起きている事件。
一見すると関係がなさそうな二つの世界が、少しずつつながっていきます。
そして夢の世界では、アリスの周りで次々と事件が発生します。
「夢と現実が、どうつながっているのか?」
読んでいる側も混乱しながら、物語を追うことになります。
普通のミステリーなら、現実世界の中で犯人やトリックを考えます。
しかし、不思議の国では、起こることすべてがメチャクチャで、意味がわからない。
この作品では、そもそも自分が立っている世界そのものが信用できません。
何が現実で、何が夢なのか。
その境界が曖昧になっていくことで、独特の不安や恐怖を感じさせます。
意味がわからず、混乱しているうちに進んでいくストーリー。
「何が起きているのかわからない」という不安。
そして最後にも、目を背けたくなるような内容が待っています。
▽ 詳しい感想はこちらで紹介しています。

この作品はタイトルと表紙を見てわかる通り、『不思議の国のアリス』を題材に描かれています。 『不思議の国のアリス』を知っている人であれば、興味がわくのではないでしょうか。登場するキャラクターもアリスに出てくる人物や動物たち […]
■まとめ
今回は、焦り・緊張・不安・恐怖を感じられるミステリーを10冊紹介しました。
一口に「怖い」といっても、その種類はさまざまです。
あなたが求めている「怖さ」は、どれでしょうか?
「犯人に追い詰められるのが怖い」
「閉じ込められるのが怖い」
「誰も信用できないのが怖い」
「何が起きているのかわからないのが怖い」
人によって、怖いと感じるポイントは違います。
だからこそ、ミステリー小説を選ぶときは、単純に「怖い作品」ではなく、「どんな怖さを味わいたいのか」で選んでみるのも面白いと思います。
普段の生活では、できるだけ避けたい焦りや緊張。
でも、小説の中なら話は別です。
ページを閉じれば、いつもの日常に戻れます。
安全な場所から、ちょっと怖い世界を覗いてみる。
「怖いのに、なぜか続きを読んでしまう」
そんな感覚を、一度味わってみてはいかがでしょうか?
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