表紙には、フェルト生地で作られたようなカエル。
タイトルは『連続殺人鬼カエル男』。
最初は、どこかコミカルな殺人鬼を想像していました。
しかし、実際に読んでみると印象は真逆。
そこにあったのは、人間を“カエル”のように扱う異常な連続殺人でした。
グロテスクな描写に何度もゾッとしながら、それでも読む手が止まらない。
『連続殺人鬼カエル男』は、恐怖とどんでん返しが次々に押し寄せる、本格ミステリーでした。
■あらすじ
連続殺人鬼カエル男
埼玉県飯能市にあるマンションの13階で死体が発見された。
明らかに殺人と分かる異常な状況だった。
死体はブルーシートに包まれ、口にフックを掛けられて吊るされ、ゆらゆらと風に揺られていた。
そして、その近くには紙が置かれていた。
「きょう、かえるをつかまえたよ。みのむしのかっこうにしてみよう。」
人間をカエルに見立てて行われた殺人。
この残虐な事件は報道され、いつしか犯人は『カエル男』と呼ばれるようになった。
捜査一課の渡瀬と古手川は、この異常な連続殺人事件を追うことになる。
しかし、手掛かりは幼稚な内容の犯行文だけ。捜査が思うように進まない中、第2、第3の犯行が起きてしまう。
犯行現場には、再び無残な死体と、カエルに見立てた内容の紙が残されていた。
正気とは到底思えない殺人犯。
このおぞましい連続殺人に街中が恐怖し、犯人を捕まえられない警察へ、不信感と怒りの矛先が向けられていく。
渡瀬と古手川は必死の捜査で犯人像を絞り込んでいく。
そんな中、被害者たちにある法則があることに気付く。
その法則からすると、次のターゲットは――。
■感想
表紙にはフェルト生地のカエルが描かれ、タイトルも『カエル男』。
最初は、カエルの着ぐるみを着た人物が殺人を犯すような内容を想像していました。
しかし実際はその逆で、
「被害者がカエルのように殺される」という衝撃的な内容でした。
普段の生活の中で、死んだカエルのことなど気にすることはありませんでした。
車に轢かれたり、動物に食べられたり、子どもの遊び道具になったり。
もし、それが人間だったとしたら。
この作品では、人間がカエルのように扱われ、殺されていく様子が描かれています。
その殺され方や死体の状況が鮮明に描写されていて、ホラー小説のような恐怖と気持ち悪さがあります。
死体描写の場面は、読み飛ばしたくなるほどでした。
読書初心者であり、グロ系が苦手な私には刺激が強すぎる内容でした。
しかし、それでも読む手が止まりませんでした。
得体の知れない犯人が迫ってくる緊張感。
暴動やパニックを起こす市民の心理。
市民から攻撃を受けながらも、犯人に迫っていく警察の執念。
それらが重なり合い、どんどん物語にのめり込んでいきました。
ミステリー小説の醍醐味の一つである「どんでん返し」ですが、この作品には衝撃的な展開が幾重にも用意されています。
終盤は驚きの連続で、読んでいるこちらも混乱するほどでした。
波状攻撃のように続く衝撃を受けながら、たどり着いた最後の1行。
そこにも、体がキュッとなるようなどんでん返しがあります。
最後の1行まで楽しめる作品でした。
殺人が起きて恐怖し、犯人を暴くために翻弄され、市民の暴動を抑えるために戦い、犯人に近づくたびに新たな衝撃を受ける。
そして、また殺人が起きる。
この緊張感が何度も繰り返されるため、400ページほどある作品ですが、中だるみを感じませんでした。
読んでいる間、心が休まる暇がありません。
■こんな人にオススメ
・本格ミステリーを求めている人
・グロ系の内容に抵抗がない人
・激しい展開や緊張感を楽しみたい人
逆に、
・グロ系が苦手な人
・落ち着いて本を読みたい人
・ストーリーより感情描写を重視する人
には、少し刺激が強すぎるかもしれません。
■まとめ
目を背けたくなる描写はありますが、ストーリーは非常に面白く、本格ミステリーとして高く評価されているのも納得できる一冊でした。
ただ、読書初心者にとっては刺激がかなり強い作品でもあります。
そのため、ミステリー入門としてよりは、何冊か別の作品を読んでから挑戦したほうが読みやすいかもしれません。

