童話の名探偵・赤ずきんに相棒ができた?|『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』感想(ネタバレなし)

本の紹介

童話の世界で次々と起こる殺人事件を、鋭い推理で解決してきた赤ずきん。

前作『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』では、『シンデレラ』や『ヘンゼルとグレーテル』など、おなじみの童話を舞台に、本格ミステリーが展開されました。
そして今作でも、赤ずきんの旅はまだ終わりません。

新たな旅の途中で出会うのは、嘘をつくたびに鼻が伸びることで有名なピノキオ。
二人は再び不可解な事件へと巻き込まれていきます。

童話ならではの世界観はそのままに、ユーモアと本格的な謎解きがさらにパワーアップした一冊です。

今回は、『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』のあらすじと感想を、ネタバレなしでご紹介します。


■あらすじ

赤ずきんは、森の奥に住む猟師のおじさんに届け物を持っていくため、ウキウキした気持ちで歩いていました。

十字路に差し掛かったところで、男の子が「やめてよ」と叫ぶ声がしました。

声のする方へ行ってみると、キツネと黒猫、そして三毛猫が大きな袋を運んでいます。
声は袋の中から聞こえてきます。
その袋から木でできた人形の腕が落ちましたが、キツネたちは気づかず行ってしまいました。

赤ずきんが落ちた腕を拾い上げると、その腕が急に動き出します。
驚いた赤ずきんでしたが、腕にペンを持たせると、文字を書き始めました。
「ぼくはピノキオ たすけてほしい」

動く腕に気味悪さを感じながらも、赤ずきんはピノキオの体を取り戻すことを決意します。

ピノキオの腕とともに体を探す旅へ出た赤ずきん。しかし、その旅路でも次々と不可解な事件へ巻き込まれてしまいます。

『ピノキオ』をはじめ、『ブレーメンの音楽隊』や『三匹の子ぶた』など、おなじみの童話が舞台です。
平和な童話の世界で起こる殺人事件や不可解な出来事。
持ち前の冷静な観察力と鋭い推理で事件の真相を解き明かしていく赤ずきんですが、はたしてピノキオの体を取り戻すことはできるのでしょうか。

前作『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』に続くシリーズ第2弾。童話の世界観と本格ミステリーが見事に融合した、ユーモアと謎解きを存分に楽しめる一冊です。


■感想

前作『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』が好きだった人なら、間違いなく楽しめる続編でした。

今回も主人公は、あの赤ずきん。
童話ではオオカミに狙われる可愛らしい少女ですが、本シリーズでは鋭い観察眼と論理的な推理力を持つ名探偵として活躍します。
ぶっきらぼうな口調や少し大人びた雰囲気も健在で、童話で知っている赤ずきんとのギャップが、このシリーズならではの魅力になっています。

そして今作では、タイトルにもあるようにピノキオが旅の仲間として加わります。
バラバラになっても死なないことや、嘘をつくと鼻が伸びるという特徴を生かした展開があり、少し間の抜けたピノキオと、冷静に毒を吐く赤ずきんとの掛け合いはテンポが良く、思わず笑ってしまう場面もありました。

前作にはなかったコンビならではの面白さがあり、物語全体がより賑やかな印象になっています。

本作でも、舞台となるのは誰もが知る童話の世界です。
『ピノキオ』や『ブレーメンの音楽隊』など、おなじみの物語がベースになっているため、登場人物や世界観を自然とイメージしながら読むことができます。
しかし、事件が起きた瞬間から物語は童話とはまったく違う方向へ進み、本格ミステリーへと姿を変えます。

「この童話をこんなトリックに使うのか」「このキャラクターがこんな役割になるのか」と、童話を知っている人ほど驚かされる展開が多く、最後まで飽きることなく楽しめました。

童話が物語のベースになっているため、ストーリーや登場人物をイメージしやすく、文章もまるで童話を読んでいるかのようにやさしく書かれています。
そのため、読書初心者でもスラスラと読み進められるでしょう。
また、本書も前作と同じく短編集なので、一話ごとに区切りがあり、とても読みやすい作品です。

一方で、事件のトリックや伏線は決して子ども向けではなく、本格ミステリーとして十分満足できる内容でした。
コミカルな世界観だからこそ油断してしまい、「まさか、そういうことだったのか」と驚かされる場面も多くあります。
前作の魅力をそのまま受け継ぎながら、新たな童話と新たな相棒によって、さらにパワーアップした続編でした。

前作を読んだ方は、ストーリーの続きとして楽しむことができます。
もちろん、本作から読んでも問題ありません。前作とのつながりはあるものの、それぞれの物語は独立しているため、赤ずきんの性格を知っているかどうか程度の違いです。
本作から読み始めても、十分に楽しめる作品だと思います。

初心者が読む入門書としておすすめでき、「童話」と「ミステリー」という少し変わった組み合わせに興味がある方や、読書初心者にもおすすめしたい一冊です。


■まとめ

『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』は、前作の魅力をそのままに、新たな童話の世界で本格的な謎解きが楽しめる続編です。

赤ずきんの鋭い推理や、童話を巧みに取り入れたストーリーは健在で、シリーズファンはもちろん、ミステリー初心者でも気軽に読むことができます。

前作『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』が面白かった方は、ぜひ本作も手に取ってみてください。きっと、再び童話の世界で起こる不思議な事件に夢中になるはずです。

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