誰もが知っている『赤ずきん』が旅先で次々と事件に巻き込まれてしまいます。
可愛らしい少女に降りかかる災難。赤ずきんを救ってくれる白馬の王子様も、助言をくれる博識な動物もいません。
赤ずきんは自力で事件を解決するしかありません。
行く先々には童話でおなじみのキャラクターたちが。
『シンデレラ』や『ヘンゼルとグレーテル』など、童話の世界がそのままミステリーになっています。
名作童話のストーリーが少しずつ変化し、そこでの事件解決を赤ずきんが担うことに。
誰もが楽しめる『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』を紹介していきます。
■あらすじ
少女は遠い遠い国を目指して旅をしていました。
誰もが目を引くような真っ赤なずきんをかぶっているので、少女は『赤ずきん』と呼ばれていました。
赤ずきんが小川を歩いていると、ボロボロの服を着た女の子が洗濯をしていました。
女の子に名前を聞くと、「シンデレラ」と名乗りました。
今日はお城で舞踏会が開かれるらしく、母と姉2人はシンデレラに家事を押し付け、ドレスを着てお城に向かったそうです。
赤ずきんはシンデレラに「あなたは行かないの?」と聞くと、着ていく服がないと言います。
そんな話をしている2人の前に魔法使いが現れ、杖を一振りすると、流れ星のような光が2人を包み、身体中の汚れが消え、髪がまとめられ、服は豪華なドレスに変わりました。
そして足にはガラスの靴が。
赤ずきんとシンデレラがお城に向かおうとすると、魔法使いは白ネズミ4匹と黒ネズミ1匹、それとカボチャを用意するように言ってきました。
言われたとおりに用意すると、魔法でネズミとカボチャが白馬と御者と馬車になりました。
馬車はお城に向かって進んでいきます。
優雅に馬車に乗っていた2人でしたが、道中で突然馬が飛び上がり、馬車が急停止し、シンデレラは赤ずきんのほうへ飛んでいきました。
「大変です! 」
タキシードを着た出っ歯の御者が騒いでいます。
2人は急いで馬車を降り御者のところに行くと、そこには男の人が倒れていました。
体を揺さぶってみましたが、彼は息をしていませんでした。
突然現れた死体。
ここから赤ずきんとシンデレラは事件に巻き込まれていくのでした。
■感想
誰もが知る『赤ずきん』が主人公となり、旅の途中で巻き込まれた事件を解決していく物語です。
童話の中にいた、おばあさんを助ける優しい赤ずきんではなく、見た目は少女でありながら、殺人事件の真相を見抜く鋭い推理力をもち、周りの大人たちを納得させるため、立ち向かっていく勇敢さがあります。
旅に出たことで世の中の闇に触れてしまったせいか、言葉遣いが少しぶっきらぼうなところがありますが、そこが童話で聞かされてきた可愛らしい赤ずきんのイメージとのギャップになっていて、本作ならではの赤ずきんの魅力になっています。。
ストーリーは有名な童話が元になっていて、登場人物の性格や状況がわかりやすく、事件が起きてもイメージしやすかったです。
本書では、『シンデレラ』『ヘンゼルとグレーテル』『眠れる森の美女』『マッチ売りの少女』の話があります。
それぞれの話の登場人物やストーリーの導入部分は童話と似た内容になっていますが、事件が起きると童話の内容から一変し、ミステリーに切り替わります。
そして、すべての話に赤ずきんが関わり、事件を解決していきます。
物語の内容は殺人事件などシリアスな場面があるので大人向きになっていますが、童話のように会話形式の文章が多いので、とても読みやすく、シリアスな部分を除けば子供でも読めるのではと思えるほど読みやすい本になっています。
親しみのある童話を題材にしており、1話ごとの長さもちょうどよく、会話形式が多いため非常に読みやすい作品です。それでいてミステリーとしてもしっかり楽しめます。
今まで本をあまり読んでこなかった人でも、本書は楽しめると思います。
読書初心者の方には、入門書としてオススメしたい1冊です。
■まとめ
『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』は、誰もが知る童話の世界と本格ミステリーを組み合わせた、ユニークで読みやすい作品です。
「次はどの童話が舞台になるのだろう」というワクワク感があり、事件が起きるたびに赤ずきんの推理を一緒に楽しむことができます。童話を知っている人ほど、原作との違いにも驚かされるでしょう。
1話ごとにテンポよく読めるため、普段あまり本を読まない方にもおすすめです。ミステリーに興味はあるけれど難しそうだと感じている方は、ぜひ本書から読んでみてはいかがでしょうか。
■こちらでもおすすめミステリ小説を紹介しています。

「ミステリー小説を読んでみたいけれど、どの本を選べばいいかわからない」そんな人も多いのではないでしょうか? ミステリー小説には、複雑なトリックを扱った本格ミステリーや、怖い作品、文章量の多い作品など、さまざまなタイプがあ […]

ミステリー小説といえば、個性的なキャラクターです。 独特の思考回路を持つ名探偵、屈折した心の闇を抱える犯罪者、推理をかき乱す愉快な仲間たち。 普段の生活の中でこんな人がいたら、きっと手を焼くことでしょう。 しかし、ミステ […]

今回は、青柳碧人さんの「昔ばなし」シリーズと「赤ずきん」シリーズを紹介します。 「昔ばなし」シリーズは日本昔話の中で、「赤ずきん」シリーズでは童話の中で、それぞれの物語の登場人物たちが事件に巻き込まれ、思いもよらない展開 […]

