「普通のミステリーとは、ちょっと違った作品を読んでみたい」
そんなことを思ったことはありませんか?
ミステリー小説といえば、
「殺人事件が起こる」
「探偵が犯人を推理する」
「最後に事件を解決する」
という展開を思い浮かべる人も多いと思います。
もちろん、こうした王道のミステリーも面白いのですが、世の中には一風変わった設定や、普通では考えられない発想から生まれたミステリーもあります。
ゲームをクリアしていくように謎を楽しむ作品。
人の過去に隠された真実を追う作品。
いろんな人たちの話がつながることで、真相が見える作品。
さらには、死者が自分自身の死の真相を推理する作品まで。
「こんな設定でもミステリーになるんだ」
と思ってしまう作品がたくさんあります。
今回は、私が実際に読んだミステリー小説の中から、特殊な設定や変わった発想が特に印象に残った作品を10冊紹介します。
「いつもとは違うミステリーを読んでみたい」
「普通の謎解きとは一味違った作品を探している」
という方は、ぜひ参考にしてください。
■まずはこの3冊がおすすめ
・『地雷グリコ』 著:青崎有吾
〖おすすめ理由〗
子どもの遊びを題材にしたゲームが、高度な頭脳戦へと変わっていく作品です。
「グリコ」など、誰もが知っているような遊びに特殊なルールが加わることで、相手の心理を読みながら次の一手を考えるゲームへと変化していきます。
ミステリーでありながら、ゲームを攻略しているような感覚で楽しめるところが魅力。
「今までとは違うミステリーを読んでみたい」という方に、まずおすすめしたい一冊です。
・『六人の嘘つきな大学生』 著:浅倉秋成
〖おすすめ理由〗
就職活動を舞台に、六人の大学生たちの過去に隠された秘密を追っていくミステリーです。
最初に持っていた登場人物への印象が、物語を読み進めるにつれて少しずつ変わっていきます。
「この人は本当はどんな人なのか?」
と考えながら読むことで、それぞれの人物に隠された真実が気になっていきます。
登場人物の過去や人間心理を楽しみながら、真相を追いたい方におすすめです。
・『神様の裏の顔』 著:藤崎翔
〖おすすめ理由〗
亡くなった人物の葬式に集まった人たちが、それぞれ故人との思い出を語っていくという、一風変わった設定のミステリーです。
話を聞いていると、「とても良い人だった」という人物像が浮かび上がってきます。
ところが、話を聞けば聞くほど、少しずつ違和感が生まれてきます。
一人の人物について語られる複数の話がつながっていくことで、少しずつ見えてくる真相。
人の記憶や証言から、一人の人物の本当の姿を探るミステリーが好きな方におすすめです。
■今回紹介する作品の選定基準
今回紹介するのは、私が実際に読んだ作品の中から、「普通のミステリーとは違った設定や発想」が特に印象に残った作品です。
単に殺人事件が起こるだけではなく、
・ゲームやクイズなど、特殊な題材を使った作品
・一般的なミステリーとは異なる視点から謎を追う作品
・死者や葬式など、変わった設定を取り入れた作品
・事件を解決することだけを目的としていない作品
・「こんなこともミステリーになるのか」と感じられる作品
を中心に選びました。
今回は「特殊な設定」をテーマにしているため、作品によってミステリーの楽しみ方がかなり違います。
本格的な謎解きを楽しめる作品もあれば、人間ドラマや独特な世界観を楽しめる作品もあります。
そのため、自分がどんな「特殊さ」を楽しみたいのかを考えながら選んでみてください。
なお、紹介する作品に順位はありません。
気になった作品から読んでみてください。
■特殊設定・変わった設定のミステリー小説おすすめ10選
■『地雷グリコ』 著:青崎有吾
〖こんな人におすすめ〗
・ゲームや頭脳戦が好きな人
・相手の次の行動を考えながら読む作品が好きな人
・普通とは違ったミステリーを読んでみたい人
〖特殊なミステリーの魅力〗
『地雷グリコ』は、子どもの遊びを題材にしたゲームを楽しむことができるミステリーです。
誰もが知っているような遊びでも、ルールが少し変わるだけで、まったく違ったゲームになります。
相手が次に何をするのか?
自分はどう動けば勝てるのか?
一つの選択が勝敗を大きく左右するため、読んでいるこちらまで「次はどうする?」と考えてしまいます。
単純なゲームに見えても、その裏では相手との心理戦が繰り広げられています。
ミステリーというより、頭脳ゲームを見ているような感覚で楽しめるところが本作の魅力です。
「犯人は誰なのか?」という一般的なミステリーとは違った謎解きを楽しみたい方におすすめしたい一冊です。
〖詳しい感想はこちら〗

■『六人の嘘つきな大学生』 著:浅倉秋成
〖こんな人におすすめ〗
・人間心理を楽しめるミステリーが好きな人
・登場人物の過去を知っていく物語が好きな人
・読み進めるうちに人物の印象が変わる作品を読みたい人
〖特殊なミステリーの魅力〗
『六人の嘘つきな大学生』は、就職活動を舞台にしたミステリーです。
最終選考に残った六人の大学生たち。
最初は同じ目標に向かっていた六人ですが、ある出来事をきっかけに、それぞれの過去が少しずつ明らかになっていきます。
「この人は本当にこんな人なのか?」
「最初に感じた印象は正しかったのか?」
と考えながら読み進めることになります。
本作の面白さは、物語を読み進めることで登場人物に対する印象が変わっていくところ。
最初は良い人に見えていた人物が、別の一面を見せることもあります。
逆に、最初は悪い印象だった人物の見方が変わることもあります。
大学生たちの過去と現在がつながっていくことで、少しずつ真相が見えてくる作品です。
「人は見た目や第一印象だけでは分からない」
そんなことを感じさせてくれるミステリーです。
〖詳しい感想はこちら〗

■『神様の裏の顔』 著:藤崎翔
〖こんな人におすすめ〗
・人間関係を描いたミステリーが好きな人
・登場人物の話から真相を考えたい人
・最後に人物の印象が変わる作品が好きな人
〖特殊なミステリーの魅力〗
『神様の裏の顔』は、葬式に集まった人たちの話から真相を探っていくミステリーです。
亡くなった人物は、多くの人から「神様」と呼ばれるほど慕われていました。
葬式に集まった人たちは、それぞれ故人との思い出を語っていきます。
「本当に優しい人だった」
「こんなことをしてもらった」
そんな話を聞いていると、誰からも愛された素晴らしい人物だったように感じます。
ところが、話を聞いていくうちに、少しずつ違和感が生まれてきます。
同じ人物について語っているはずなのに、人によって見えている姿が違うのです。
一人の人物について語られるさまざまな話。
それらがつながっていくことで、少しずつ本当の姿が見えてきます。
「人から見た自分」と「本当の自分」は同じなのか。
そんなことまで考えさせられる作品です。
〖詳しい感想はこちら〗

「本当にこの人は善人だったのだろうか?」 『神様の裏の顔』は、お通夜の席で交わされる何気ない会話から、一人の人物の本当の姿が少しずつ明らかになっていく異色のミステリーです。 教育の神様のお通夜の会場で出てくる故人との思い […]
■『町内会死者蘇生事件』 著:五条紀夫
〖こんな人におすすめ〗
・変わった設定のミステリーが好きな人
・普通とは違った謎解きを楽しみたい人
・タイトルから「どういうこと?」と思わせる作品が好きな人
〖特殊なミステリーの魅力〗
ミステリーでよくあるのは、
「誰が殺したのか?」
という謎です。
ところが、本作で注目するのは、その逆。
「生き返らせたのは誰なのか?」
という、普通とは少し違った謎を追っていきます。
タイトルを見ただけでも、
「死者蘇生?」
「一体何が起こるの?」
と気になってしまいます。
身近な町内会を舞台にしながら、そこに「死者蘇生」という非日常的な要素が加わることで、独特なミステリーになっています。
一般的な殺人事件とは違った角度から謎を楽しめるところが、本作の魅力です。
「ちょっと変わったミステリーを読んでみたい」という方におすすめしたい作品です。
〖詳しい感想はこちら〗

■『私はチクワに殺されます』 著:五条紀夫
〖こんな人におすすめ〗
・奇妙な設定のミステリーが好きな人
・少し怖くて不思議な作品を読みたい人
・他の作品では味わえない読書体験をしたい人
〖特殊なミステリーの魅力〗
「チクワの穴から見えるもの」をきっかけに、恐ろしい世界へと取り憑かれていく物語です。
タイトルを見たとき、「なぜチクワ?」
と思った方も多いのではないでしょうか。
チクワといえば、どこかコミカルで身近な食べ物。
そんなチクワと「殺される」という物騒な言葉が組み合わさっているだけでも、かなり異質な作品です。
そして物語を読み進めるにつれて、チクワの穴から見える世界が、だんだんと恐ろしいものに変わっていきます。
身近なものを題材にしながら、そこから想像もしなかった世界へと広がっていくところが面白い作品です。
「普通のミステリーでは物足りない」という方におすすめです。
〖詳しい感想はこちら〗

「私はチクワに殺されます。」このタイトルを見て、どんなミステリーを想像しますか? おでんや煮物などに入っている、あの「チクワ」です。チクワと殺人事件。普通に考えれば、まったく結びつかない2つの言葉ですよね。私もタイトルを […]
■『人類最初の殺人』 著:上田未来
〖こんな人におすすめ〗
・変わったテーマのミステリーが好きな人
・「なぜ?」を考えるのが好きな人
・犯罪の起源について考えてみたい人
〖特殊なミステリーの魅力〗
「人類が初めて殺人を犯したとき、何が起こったのか?」
そんな壮大なテーマを扱う作品です。
舞台となるのはラジオ番組。
この番組の1つのコーナーとして語られるので、一般的なミステリーのように、現代で起こった殺人事件を探偵が解決するわけではありません。
そもそも、
「人はなぜ人を殺すのか?」
「犯罪はどのように始まったのか?」
というところから考えていきます。
「犯人は誰なのか?」ではなく、「なぜこの犯罪行為が生まれたのか?」という方向から謎を楽しめるところが特徴です。
普段読むミステリーとはかなり違った視点で、「犯罪」というものを考えることができます。
〖詳しい感想はこちら〗

■『君のクイズ』 著:小川哲
〖こんな人におすすめ〗
・殺人事件のないミステリーを読みたい人
・クイズや頭脳戦が好きな人
・一つの「なぜ?」を追いかける作品が好きな人
〖特殊なミステリーの魅力〗
『君のクイズ』は、クイズ番組で起こった不可解な出来事をきっかけに、謎を追っていくミステリーです。
問題がまだ読まれていないにもかかわらず、対戦相手が正解してしまう。
「問題を聞かずにどうして答えが分かったのか?」
この疑問を追いかけることになります。
本作には、一般的なミステリーで登場するような殺人事件はありません。
それでも、一つの不可解な出来事について「なぜ?」と考えながら読み進めることで、しっかりとミステリーとして楽しむことができます。
殺人事件を扱わなくても、ミステリーは成立する。
そんなことを感じさせてくれる作品です。
ページ数も比較的少なく、読みやすい作品なので、普段ミステリーを読まない方にもおすすめです。
〖詳しい感想はこちら〗

■『閻魔堂沙羅の推理奇譚』 著:木元哉多
〖こんな人におすすめ〗
・特殊設定ミステリーが好きな人
・今まで読んだことのない謎解きを楽しみたい人
・短編形式で読みやすいミステリーを探している人
〖特殊なミステリーの魅力〗
『閻魔堂沙羅の推理奇譚』の最大の特徴は、死者が自分の死の真相を推理するという設定です。
普通のミステリーでは、探偵が事件を推理します。
しかし、本作では事件の被害者本人が、
「自分はなぜ死んだのか?」
「誰が自分を殺したのか?」
を考えることになります。
自分のことなのに、自分では知らない真相。
限られた情報をもとに、自分自身の死について推理していくという設定が非常に面白い作品です。
「死人に口なし」の概念を覆す普通とは逆の発想によって、独特のミステリーになっています。
特殊設定ミステリーを初めて読む方にもおすすめしたい一冊です。
〖詳しい感想はこちら〗

「もし自分を殺した犯人を、自分自身で推理することになったら?」 ミステリーでは、探偵が事件現場に残された証拠や証言をもとに、犯人を追い詰めていく作品が多くあります。 しかし、『閻魔堂沙羅の推理奇譚』は少し変わっています。 […]
■『観覧車は謎を乗せて』 著:朝永理人
〖こんな人におすすめ〗
・人間ドラマのあるミステリーが好きな人
・複数の登場人物の物語を楽しみたい人
・日常の中にある謎を楽しみたい人
〖特殊なミステリーの魅力〗
『観覧車は謎を乗せて』は、観覧車に乗った6組の乗客を中心に、それぞれの事情が描かれていく作品です。
観覧車というと、景色を楽しみながらゆっくり過ごす場所を想像します。
しかし、同じ観覧車に乗っている人たちにも、それぞれの生活や悩みがあります。
それぞれ違った事情を抱えた人たちが、同じ場所に集まっている。
そんな設定から、人間ドラマと謎が生まれていきます。
大きな事件だけに注目するのではなく、登場人物一人ひとりの物語を楽しめるところが本作の魅力です。
ミステリーだけでなく、人間ドラマも楽しみたい方におすすめです。
〖詳しい感想はこちら〗

「観覧車に乗る」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか? 私は観覧車に乗るとき、特に深いことは考えず、「ただ乗ってみたいから」くらいの気持ちで乗ります。しかし、朝永理人さんの『観覧車は謎を乗せて』に登場する乗客たちは、そ […]
■『オリエンド鈍行殺人事件』 著:藤崎翔
〖こんな人におすすめ〗
・普通のミステリーとは違う作品を読みたい人
・予想外の展開を楽しみたい人
・短編作品を気軽に読みたい人
〖特殊なミステリーの魅力〗
『オリエンド鈍行殺人事件』は、北関東の山合いを走るローカル線を舞台にした作品です。
大雨による土砂崩れで列車が緊急停止。
そんな状況の中で殺人事件が起こり、乗客たちは犯人探しを始めます。
ここまでは、王道のミステリーにも思えます。
しかし、本作の面白さは、誰も事件を解決できないところ。
乗客に名探偵などいるはずもなく、一般人が見様見真似で推理することで、物語が思わぬ方向へ広がっていきます。
さらに、本作には表題作以外にもさまざまな短編が収録されています。
ミステリーだけでなく、SFやファンタジー、ホラーなど、幅広いジャンルの物語を楽しめるところも魅力です。
「一冊の中でいろいろなタイプの物語を楽しみたい」という方にもおすすめしたい作品です。
〖詳しい感想はこちら〗

「小説を読んでみたいけれど、難しそう……」そんな人におすすめしたいのが、藤崎翔さんの『オリエンド鈍行殺人事件』です。 タイトルを見ると、本格的な殺人事件を扱ったミステリー小説を想像するかもしれません。実際、表題作ではロー […]
■どの本から読むべき?
今回紹介した作品に順位はありませんので、基本的には気になった作品から読んで問題ありません。
その中でも、私が特におすすめしたい作品は、
・『地雷グリコ』
・『六人の嘘つきな大学生』
・『神様の裏の顔』
です。
『地雷グリコ』は、ゲームを題材にした頭脳戦。
『六人の嘘つきな大学生』は、大学生たちの過去と人間心理。
『神様の裏の顔』は、葬式に集まった人たちの話から真相を探るミステリー。
それぞれ「特殊なミステリー」というテーマに当てはまりながらも、楽しみ方が大きく違います。
まずは、この3冊の中から気になった作品を読んでみてください。
もちろん、他の7作品も普通のミステリーとは違った面白さがあります。
「変わった設定のミステリーを読んでみたい」という方は、ぜひ今回紹介した作品を参考にしてみてください。
■ゲーム・クイズを楽しめるミステリー
・『地雷グリコ』
・『君のクイズ』
■人間の過去や本当の姿を追うミステリー
・『六人の嘘つきな大学生』
・『神様の裏の顔』
・『観覧車は謎を乗せて』
■死者や生死をテーマにした特殊ミステリー
・『町内会死者蘇生事件』
・『閻魔堂沙羅の推理奇譚』
・『人類最初の殺人』
■ちょっと怖くて奇妙な世界を楽しめるミステリー
・『私はチクワに殺されます』
■本当にミステリー?+他のジャンルも読める
・『オリエンド鈍行殺人事件』
■普通とは違うミステリーを読んでみよう
ミステリー小説には、「犯人は誰なのか?」を考える作品だけではありません。
ゲームの勝敗を考えたり、クイズの答え方に隠された謎を探したり、死者が自分の死について推理したり。
今回紹介した10作品を読むと、ミステリーにはまだまだいろいろな形があることに気づかされます。
「最近、普通のミステリーには少し飽きてきた」
「今まで読んだことのないミステリーを読んでみたい」
そんな方は、ぜひ今回紹介した作品を手に取ってみてください。
いつものミステリーとは一味違った、「こんなミステリーもあるんだ!」という驚きを楽しめると思います。

