「とにかくくだらないミステリーが読みたい!」
そんな人におすすめしたいのが、蘇部健一さんの『六枚のとんかつ』です。
ミステリー小説といえば、殺人事件、巧妙なトリック、犯人との緊迫した駆け引き。
そんなイメージを持っている人も多いと思います。
ところが、『六枚のとんかつ』は、そうしたミステリーとはかなり違います。
事件は起こるものの、スリルや恐怖はほとんどありません。
それどころか、
「なんでそんなことをするの?」
と思ってしまうような、くだらなくてバカバカしい出来事が次々と登場します。
今回は、そんな蘇部健一さんの『六枚のとんかつ』を、ネタバレなしで紹介します。
■あらすじ
保険調査員として働く小野は、事件が起きた後、その事件について調査し、保険金を支払う必要があるのかを判断する仕事をしています。
ある事件を担当することになった小野は、友人とともに事件について調べることになります。
しかし、二人が事件を調べていく中で、思い込みや勘違いが次々と生まれていきます。
そして、二人が導き出した事件の真相は、実際に起こったこととはまったく違うものでした。
果たして小野たちは、本当の真相にたどり着くことができるのでしょうか?
■感想
・とにかく「くだらない」!
この作品を読んで最初に思ったのは、
「とにかくくだらない!」
ということでした。
もちろん、悪い意味だけではありません。
むしろ、このくだらなさこそが、『六枚のとんかつ』の最大の魅力だと思います。
登場する事件やトリックには、
「そんなこと思いつく?」
と思ってしまうような、バカバカしい発想がたくさん登場します。
しかも、事件が起きているにもかかわらず、読んでいて怖くありません。
緊迫した場面でも、
「何をやっているんだ……」
と思わず笑ってしまう。
そんな独特のミステリーです。
・男性のバカな発想を楽しむ小説?
かなり下品なところもあるので、正直なところ、女性には少し好みが分かれる作品かもしれません。
男性が考えそうな、ちょっとくだらなくて、ちょっと下品な発想。
そんな「男のバカな部分」を、そのまま小説にしたようなところがあります。
もちろん、すべての人に当てはまるわけではありませんが、
「こういうくだらないことを考えるの、分かるなあ」
と思ってしまう部分もありました。
上品で洗練されたミステリーを期待して読むと、かなりギャップを感じると思います。
逆に、
「たまには何も考えず、くだらない小説を読んで笑いたい」
という人には、この作品の雰囲気が合うかもしれません。
・真相よりも「そこに至るまで」が面白い
この作品の面白さは、事件の真相そのものではありません。
事件自体は、それほど複雑なものではありません。
むしろ、
「どうしてそんな真相にたどり着くの?」
という、推理の過程を楽しむ作品です。
小野たちは、事件について調べながら、思い込みや勘違いによって、どんどん違う方向へ進んでいきます。
読んでいるこちらとしては、
「いや、それ違うでしょ!」
と思いながら、その推理を見守ることになります。
そして、最終的には本当の真相にはたどり着きません。
普通のミステリーなら、
「犯人は誰なのか?」
「真相は何なのか?」
を楽しむところですが、『六枚のとんかつ』では、
「この人たちは、どうやってそんな答えを出したんだ?」
という部分を楽しむ。
ここが、この作品の面白いところだと思います。
・バカバカしいトリックも魅力
ミステリーなので、もちろん事件が起こります。
事件自体は、いたって普通のものだったりします。
ただし、その事件解決が一筋縄ではいきません。
「なんでそんなことになったの?」
と思ってしまうような、偶然が重なる奇跡のような展開が登場します。
本格ミステリーのような、
「こんなトリック、絶対に見破れない!」
という凄さではありません。
むしろ、「なぜその発想に至ったのか?」を楽しむような作品です。
事件そのものもバカバカしく、推理する側も勘違いしている。
そのため、物語全体を通して笑いながら読み進めることができます。
・短編集なので読みやすい
『六枚のとんかつ』は短編集なので、一つひとつの話が短くなっています。
そのため、「今日は少しだけ本を読みたい」というときにも読みやすい作品です。
長編小説のように、
「この先どうなるんだろう?」
と何時間も集中して読む必要はありません。
ちょっとした空き時間に、一話ずつ読み進めることもできます。
ミステリーを読みたいけれど、時間があまり取れないという人にも読みやすいと思います。
・怖くないミステリーを読みたい人にもおすすめ
ミステリーというと、「殺人事件が出てくるから怖そう」と思う人もいるかもしれません。
しかし、『六枚のとんかつ』には、そうした怖さはほとんどありません。
事件は起きます。
人も死にます。
それでも、読んでいて怖くない。
むしろ、
「なんだこの事件は!」
「どうしてそうなるんだ!」
と笑ってしまいます。
そのため、怖いミステリーが苦手な人でも、比較的読みやすい作品です。
■こんな人におすすめ
とにかくくだらないミステリーを読みたい
笑いながら読める作品を探している
短時間で読めるミステリーが読みたい
本格的なミステリーとは違う作品を読んでみたい
バカバカしい発想のトリックを楽しみたい
そんな人におすすめの一冊です。
■まとめ
蘇部健一さんの『六枚のとんかつ』は、とにかくくだらないミステリーです。
下品なところもあり、バカバカしい発想も多い。
人によっては、
「くだらなすぎる……」
と感じるかもしれません。
でも、この作品では、その「くだらなさ」こそが面白さになっています。
事件の真相を追うというよりも、思い込みや勘違いによって、とんでもない答えにたどり着いてしまう過程を楽しむ作品です。
本格ミステリーのような緊張感や恐怖を期待すると、かなり違う作品だと思います。
一方で、
「たまにはくだらない小説を読んで笑いたい!」
という人には、ぴったりの一冊です。
短編集なので、一話ずつ気軽に読めるのも魅力。
「今日は難しいミステリーではなく、何も考えずに笑える作品を読みたい」
そんなときに、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
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