今回は、青柳碧人さんの「昔ばなし」シリーズと「赤ずきん」シリーズを紹介します。
「昔ばなし」シリーズは日本昔話の中で、「赤ずきん」シリーズでは童話の中で、それぞれの物語の登場人物たちが事件に巻き込まれ、思いもよらない展開になっていきます。
誰もが知っている昔話や童話が、ミステリー小説として生まれ変わっています。
元ネタを知っているので人物像や風景をイメージしやすく、「この人は誰だっけ?」と迷うことも少ないです。
物語に親しみがあり、まったく知らない話ではないというところが、読みやすさの一つになっています。
また、このシリーズは物語一つ一つで事件が起き、解決するという短編集になっています。
そのため、長編小説のように数百ページを最後まで読まないと真相が見えないということがありません。
いろいろな昔話や童話が登場し、事件やトリック、犯人もバラエティに富んでいますので、多くのミステリーの手法を楽しむことができます。
きっと、あなたの好きな話が見つかると思います。
注意点は、先入観を持たないこと。
知っている物語が多くありますが、「きっとこの後こうなるだろう」と思っていると、間違いなく裏切られます。
この元ネタとのギャップが楽しめる要素になっていて、「あの話がこんなことに」と驚くたびに、どんどん作品に引き込まれていきます。
活字が苦手だった私が、ミステリー小説を読むきっかけとなったのが、このシリーズでした。
読書初心者にとっては、1ページ読むのも大変。
そんな初心者でも読みやすくて面白い。
夢中になれる作品に出会うことができました。
ミステリーの入門書として初心者におすすめしたい「昔ばなし」シリーズと「赤ずきん」シリーズを紹介していきます。
■まずはおすすめの2冊
「昔ばなし」シリーズと「赤ずきん」シリーズは短編集で、一話完結になっていますので、どの本から手に取っても大丈夫です。
ただ、やはりシリーズものを読むなら、最初から読んでいくのが一番いいです。
なので、まずはこの2冊を読んでみてください。
■むかしむかしあるところに、死体がありました。
「昔ばなし」シリーズの第一作目です。
収録内容は、「一寸法師」「花咲かじいさん」「つるの恩返し」「浦島太郎」「桃太郎」です。
昔話の内容は知っているのに、まったく違う展開が待っています。
新しい物語に読む手が止まらず、どんどん引き込まれていきます。
■赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。
「赤ずきん」シリーズの第一作目です。
収録内容は、「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」「眠れる森の美女」「マッチ売りの少女」です。
このシリーズでは、赤ずきんが一連の物語を通して探偵役になっています。
赤ずきんが旅の中で出会う童話の登場人物たち。
そこで起きる事件を、鋭い推理力で解決していきます。
■シリーズ作品の紹介
「昔ばなし」シリーズ
このシリーズは日本昔話を題材に、その物語の中で事件が起こります。
誰もが知っている原作の内容を活かしつつ、まったく新しい話に生まれ変わっています。
「主人公がこんなことになるなんて」
「あの話の裏には、こんなことが起きていたとは」
そんな思いが、どんどん出てきます。
一話ごとに内容が完結し、他の話とのつながりはないので、自分の好きな話から読むことができます。
興味がある作品から読んでみてもいいですし、一つだけ読んで終わりにして、時間を空けてから次の話を読むといったこともできます。
また、一つの話は50ページ前後なので、お試しに読んでみたいという方にも、ちょうどいいです。
昔話が題材なので、作中の文章は昔話風の口調になっています。
「〇〇するでよ」「〇〇じゃあるめぇな」など、現代ではあまり使わない言葉や表現が頻繁に出てきて、最初は読みにくさがありますが、すぐに慣れます。
この昔話らしい言葉遣いが物語の世界観を引き出していて、昔話というファンタジーの世界に引き込まれていきます。
短編集なので一つの話は短く、本格ミステリー小説のような大掛かりなトリックや、鳥肌が立つようなどんでん返しはありません。
しかし、事件が起きて真相を暴くというミステリーの醍醐味はコンパクトにしっかりまとめられていますので、ミステリー作品として十分楽しめると思います。
ミステリーに興味がある人、一度読んでみたいと思っている人はもちろん、小説自体をあまり読んでいない人にも、入門書としておすすめしたいシリーズです。
第一作目 むかしむかしあるところに、死体がありました。
収録内容
「一寸法師」「花咲かじいさん」「つるの恩返し」「浦島太郎」「桃太郎」
詳しい感想はこちら

第二作目 むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。
収録内容
「かぐや姫」「おむすびころりん」「わらしべ長者」「さるかに合戦」「ぶんぶく茶釜」
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「むかしむかし、あるところに――」 誰もが一度は聞いたことがある、日本昔ばなしの定番の始まり方です。桃太郎や浦島太郎、かぐや姫、さるかに合戦など、子どものころから親しんできた昔ばなし。 そんな昔ばなしの世界で殺人事件が起 […]
第三作目 むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。
収録内容
「こぶとり爺さん」「耳なし芳一」「舌切り雀」「三年寝太郎」「金太郎」
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「こぶとりじいさん」「耳なし芳一」「舌切り雀」「三年寝太郎」「金太郎」誰もが一度は聞いたことのある日本昔話です。しかし、もし昔話の世界で殺人事件が起こっていたとしたら? 青柳碧人さんの『むかしむかしあるところに、死体があ […]
「赤ずきん」シリーズ
このシリーズは、赤ずきんが旅をしている中で、行く先々で事件に巻き込まれてしまいます。
旅先は、誰もが知っている童話の世界。
登場人物たちは、元ネタとは違った一面を見せてきます。
小さい頃から聞いてきた童話の世界。
動物が話したり、魔法があったり、もともと童話自体がファンタジーで不思議な要素がいっぱいです。
その中に殺人事件というダークで現実的な内容が加わることで、世界観がガラリと変わり、ミステリーらしい緊張感が出てきます。
綺麗なお姫様が疑われたり、可愛いキャラクターが豹変したり、思ってもいない展開が次々と起こります。
そして、複数の童話の内容が重なり、2つの話が同時に登場したり、別々の童話のキャラクターが出会ったりするといったコラボが起きるところにも、ワクワク感があります。
このシリーズの魅力の一つが、主人公である「赤ずきん」です。
誰もが知る、おばあさん思いの優しくて可愛い赤ずきんが、本シリーズでは名探偵として活躍します。
純粋で誰にでも優しく接するというイメージとは違い、強気で思ったことを口にし、冷静な態度で毒舌を放つ赤ずきん。
屈強な男たちや、誰も逆らえない王様に対しても、グイグイと説き伏せていきます。
面倒事に巻き込まれた赤ずきんは文句を言いながらも、持ち前の洞察力と推理力を使って事件の真相を暴いていきます。
その姿は頼りがいがあり、物語に欠かせない存在になっています。
元ネタが童話なので話の内容がわかりやすく、事件が起きても世界観が崩れることはありません。
どこかヘンテコで独特なキャラクターたちも登場し、子どもでも読めるくらいわかりやすい表現で物語が進んでいきます。
会話も難しい口調はなく、赤ずきんが思ったことを適当に言い放つ言葉も合わさり、笑いながら読むことができます。
このシリーズは、「赤ずきんの旅」という大きな軸があり、それぞれの話は全体として時系列でつながっています。
ただ、事件自体はそれぞれの話の中で解決し、一話完結になっていますので、一つ一つの物語ごとに読み進めることができます。
一つの話は短くまとまっていて読みやすく、どの話もとても楽しめます。
好きな話から読むこともできますが、物語が時系列でつながっていますので、読む順番としては最初から順番に読んでいくのが一番いいと思います。
第一作目 赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。
収録内容
「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」「眠れる森の美女」「マッチ売りの少女」
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誰もが知っている『赤ずきん』が旅先で次々と事件に巻き込まれてしまいます。 可愛らしい少女に降りかかる災難。赤ずきんを救ってくれる白馬の王子様も、助言をくれる博識な動物もいません。赤ずきんは自力で事件を解決するしかありませ […]
第二作目 赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。
収録内容
「ピノキオ」「白雪姫」「ハーメルンの笛吹き男」「三匹の子豚」
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童話の世界で次々と起こる殺人事件を、鋭い推理で解決してきた赤ずきん。 前作『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』では、『シンデレラ』や『ヘンゼルとグレーテル』など、おなじみの童話を舞台に、本格ミステリーが展開されました。 […]
第三作目 赤ずきん、アラビアンナイトで死体と出会う。
収録内容
「アラジン」「アリババと40人の盗賊」「シンドバッド」
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「もしも赤ずきんが、アラビアンナイトの世界に迷い込んだら?」 そんな童話好きにはたまらない設定で人気を集めている、青柳碧人さんの「赤ずきんシリーズ」。 『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』『赤ずきん、ピノキオ拾って死体 […]
第四作目 赤ずきん、イソップ童話で死体と出会う。
収録内容
「ウサギとカメ」「アリとキリギリス」「オオカミ少年」「北風と太陽」
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「うさぎとかめ」「アリとキリギリス」「オオカミ少年」。 誰もが一度は聞いたことのある、イソップ童話。そんなイソップ童話の世界で殺人事件が起こったら、いったいどうなるのでしょうか? 青柳碧人さんの『赤ずきん、イソップ童話で […]
■まとめ
今回は、青柳碧人さんの「昔ばなし」シリーズと「赤ずきん」シリーズを紹介しました。
どちらのシリーズも、誰もが知っている昔話や童話を舞台に、殺人事件や謎解きが繰り広げられるミステリー小説です。
「この後はこうなるはず」と思って読んでいると、元ネタとはまったく違う展開が待っていて、「あの話がこんなことに!」と驚かされます。
また、一話完結の短編集なので、長編ミステリーのように何百ページも読み続ける必要がありません。
「ミステリーを読んでみたいけど、長い小説はちょっと……」という人でも、気軽に読み始めることができます。
私自身、活字が苦手でしたが、このシリーズをきっかけにミステリー小説を読むようになりました。
ミステリー小説を読んでみたいけれど、どの作品から読めばいいのかわからない。
そんな人には、まず「むかしむかしあるところに、死体がありました。」か「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」をおすすめします。
あなたがミステリー小説にハマる、最初の一冊になるかもしれません。

