「観覧車に乗る」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?
私は観覧車に乗るとき、特に深いことは考えず、「ただ乗ってみたいから」くらいの気持ちで乗ります。
しかし、朝永理人さんの『観覧車は謎を乗せて』に登場する乗客たちは、そうではありません。
安全装置の誤作動によって観覧車が停止し、ゴンドラに閉じ込められた乗客たち。
そこには、
幽霊と相席してしまった男
何か訳ありな父娘
告白に失敗して気まずい男女
カップルのように見える女子高生2人
狙撃を依頼された殺し屋と依頼者
爆弾と一緒に観覧車に乗せられた兄
という、ひと癖もふた癖もある6組の乗客がいました。
観覧車という限られた空間の中で、それぞれの物語が交互に描かれていきます。
「なぜ、この人たちは観覧車に乗っているのか?」
そして、
「この6組には、何か繋がりがあるのでは?」
そんなことを考えながら読み進めてしまう、読みやすいミステリーです。
■あらすじ
観覧車の安全装置が誤作動し、ゴンドラが途中で停止してしまいます。
乗客たちは突然、地上に降りることもできない状況に閉じ込められてしまいました。
しかし、本作で描かれるのは観覧車のトラブルだけではありません。
それぞれのゴンドラには、事情を抱えた乗客たちが乗っています。
幽霊と相席してしまった男
何かを隠しているような父娘
告白に失敗して気まずい男女
カップルのように観覧車に乗る女子高生
狙撃を依頼された殺し屋と、その依頼者
爆弾と一緒に観覧車に乗せられてしまった兄
一見すると、関係のなさそうな6組の乗客たち。
それぞれが、それぞれの理由で観覧車に乗っています。
果たして、彼らに待ち受けているものとは?
そして、6組の物語に隠された謎とは?
観覧車という閉ざされた空間で、6つの物語が動き始めます。
■感想
・6組の乗客、それぞれに事情がある
本作を読んで特に印象に残ったのが、観覧車に乗る「理由」です。
私は観覧車に乗るとき、「ただ乗ってみたいから」くらいの感覚です。
しかし、本作に登場する乗客たちは、それぞれ観覧車に乗る事情を抱えています。
観覧車のゴンドラという狭い空間で起きる6組の物語。
観覧車に乗った乗客それぞれの思いに加えて、突然の非常停止というアクシデントが起こります。
同じ観覧車に乗っているにもかかわらず、そこには6種類のドラマがあります。
「一体、何が起こるんだ?」
そんな気持ちにさせられながら、次のページへと読み進めてしまいました。
しかも、最初から6組の関係性が明らかになるわけではありません。
それぞれの物語が交互に描かれるため、
「この人たちは何をしているんだろう?」
「なぜ、この観覧車に乗っているんだろう?」
と考えながら読むことになります。
そして、読者である私たちは、つい6組の物語の繋がりを探してしまいます。
「実は全員、何か関係があるのでは?」
そんなふうに勘ぐりながら読むのも、本作の面白さの一つだと思います。
・6つの物語が交互に進んでいく
本作では、6組の乗客の物語が交互に描かれます。
1組の話が長く続くのではなく、数ページほどで別の乗客へと切り替わっていきます。
そのため、序盤は少し、
「今、どの話だっけ?」
となることもありました。
ただ、この構成には分かりやすい目印があります。
それが、ページの途中に登場する観覧車のマークです。
このマークによって、次に描かれる乗客が乗っているゴンドラの位置が示されます。
最初は6組の位置関係を覚えるのが少し大変ですが、読み進めていくうちに、
「この位置なら、あの乗客の話だな」
と分かるようになってきます。
ゴンドラの位置が頭に入ってくると、6つの物語が整理され、かなり読みやすくなりました。
個人的には、この観覧車マークが良い目印になりました。
1つの話が数ページで切り替わるため、
「次の観覧車マークまで読んでみよう」
と区切りをつけながら読み進めることができます。
読書が苦手な人にとっても、こうした細かい区切りがあるのはありがたいポイントだと思います。
・小さなゴンドラに、それぞれの想いが詰まっている
観覧車のゴンドラは、それほど大きな空間ではありません。
そんな小さなゴンドラの中に、それぞれ違った事情を抱えた乗客たちが乗っています。
最初はただの「観覧車の乗客」にしか見えなかった人たちが、物語を読み進めるにつれて、少しずつ違った顔を見せていきます。
「なぜ、この人は観覧車に乗ったのか?」
その理由が分かってくることで、それぞれの物語にも興味が湧いてきます。
私自身は観覧車に乗るとき、「ただ乗ってみたいから」という程度の理由しかありません。
でも、人によっては「その観覧車に乗らなければならない理由」がある。
そんな違いを感じられたのも、本作を読んで印象に残ったところです。
そして、6組には特に繋がりがないように見えるからこそ、
「もしかして、この出来事が別の話にも関係しているのでは?」
と、ついつい深読みしてしまいます。
一つひとつの物語を楽しみながら、全体の繋がりを探していく。
そんな読み方ができる作品でした。
・300ページ以下で読みやすいミステリー
本作は300ページ以下で、比較的読みやすい作品です。
6組の物語が次々と切り替わっていくため、序盤は少し混乱するかもしれません。
私も最初は、
「今はどの話だったっけ?」
となることがありました。
しかし、物語が進むにつれて、それぞれの乗客の状況が少しずつ整理されていきます。
さらに、観覧車マークによってゴンドラの位置が示されるため、
「この位置は、この乗客だな」
と分かるようになってきます。
・ゴンドラの位置を意識して読むこと。
これが本作を分かりやすく読むポイントだと思います。
一度それぞれの位置関係が頭に入れば、6組の物語もかなり追いやすくなります。
長編小説を読むのは少し大変という人にも、手に取りやすいミステリーです。
■まとめ
朝永理人さんの『観覧車は謎を乗せて』は、観覧車に閉じ込められた6組の乗客、それぞれの物語が描かれるミステリーです。
幽霊と相席してしまった男。
訳ありな父娘。
告白に失敗した男女。
カップルのような女子高生2人。
殺し屋と依頼者。
爆弾と一緒に乗せられた兄。
一見すると関係のなさそうな6組ですが、読者は自然と、
「この人たちには何か繋がりがあるのでは?」
と考えてしまいます。
6つの物語が細かく切り替わるため、序盤は少し混乱するかもしれません。
ただ、観覧車マークでゴンドラの位置が示されるため、読み進めるうちに、それぞれの物語が整理されていきます。
「次の観覧車マークまで読もう」と区切りながら読めるのも、読書初心者には嬉しいポイントです。
300ページ以下で読みやすく、複数の物語を追いながら謎を楽しめる一冊。
観覧車という身近な場所で、6組の乗客がどんな物語を繰り広げるのか。
気軽に読めるミステリーを探している人におすすめしたい作品です。
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